第30章 代表決定戦2日目
私たちが観客席についた頃、コートでは伊達高と青葉城西の試合が進んでいた。
次の烏野の相手は勝った方。
みんな固唾を飲んで見守る。
いや、日向君、影山君、田中君、西谷君は試合を見ながら軽く食事…
軽い?
いや、結構口に突っ込んでるみたいだけど…
呆れて孝支君が食いすぎんなよって注意してる。
そんな時、伊達高の制服を着た3人が駆け込んできて、どっちが1セット取った?って騒いでる。
教えてあげようと思い、席から腰を上げかけた。
するとそれよりも早く澤村君が口を開いた。
「あのー1セット目は青城が取ったっぽいです。」
1度戦ったことのあるらしい伊達高に澤村君は挨拶をすると向こうからも挨拶が帰ってきた。
そして伊達高の子達は通路を挟んで向こう側にいた伊達高の方に混ざって行った。
試合を見ながらふと呟いた。
『試合してない及川君はちゃらくて苦手だけど試合中の及川君はみてて気持ちいいんだよね』
その声にいち早く蛍君が反応する。
「ねぇ夏乃さん…大王様と話したの?」
『うん。昨日飲み物買いに行った時に偶然…』
「何かされなかった?」
『連絡先聞かれたけど教えてないなぁ…』
「いちいち教えなくていいから…本当に隙ありすぎ…」
みんなが試合に見入っている中、するりと私の右手に蛍君の左手が重なる。
今試合中!
『蛍君…うしろにも人いる…「じゃあばれないようにしてくださいよ…?」
これってばれるばれないの問題じゃないって…
あれ?
指先が冷たい…
緊張…してる?
口では飄々としててもやっぱり緊張してるんだ。
『大丈夫』
蛍君にしか聞こえないくらいの音量でつぶやく。
『貴方は強い。
貴方が努力してきたこと私は知ってる。
だから
負けない。』
私は握られた手を握り返した。
試合は終盤に差し掛かる。
3枚ブロックに真っ向勝負の岩泉君。
鉄壁をぶち破り勝利を決めた。
次の相手は青葉城西…
インターハイ予選で敗れた相手だ…