第30章 代表決定戦2日目
烏野のメンバーが戻る入り口に先回りしようと階段をおり、体育館の入り口に行くと、
彼
澤村君がいた。
『澤村君!』
私の声に入り口にいた澤村君は振り向いてニコッと笑う。
「椎名さん。心配かけました。」
『もう大丈夫なの?』
頬の痛々しい痣が先ほどの場面を思い出す。
「大地さん!」
コートから田中君の声が聞こえた。
試合を終えたみんなが戻ってきた。
「あー…えっと…すまん」
澤村君は頭をかきながら笑う。
孝支君と西谷君は澤村君が戻ってきたのが嬉しくてちょっかいかけに行ってる。
孝支君!明らかにお腹にパンチ入ってるよ!
澤村君怪我人だから!
「大地さん、だっ…」
田中君は心配そうに澤村君を見つめてる。
「大丈夫だよ。いやっマジでかなり。ちゃんと休んだしむしろ試合前より元気。
つぎの試合は人一倍働くから。」
みんなを連れ立って歩き出す澤村君。
流石だなぁ。
帰ってきてすぐ烏野の「お父さん」やってる。
しっかり縁下君へのフォローも忘れてない。
大丈夫。
そう思った私はあとから来た1年メンバー達と一緒に観客席に向かった。
「すごいね!最後澤村さんと見てたよ!」
「次もかぁつ!」
みんなは勝った喜びからか興奮がとまらないみたいだ。
そんな中、山口君だけは暗い顔をしている。
「ごめん…ちょっと便所行ってくる。先行ってて!」
そう言い山口君は今まで登っていた階段を走って下って行った。
日向君と影山君は気合いいれてトイレ行くだのいってるけどあれは多分さっきのサーブを気にしてる。
蛍くんも気づいているみたいで「トイレに行ったんじゃないと思う」ってフォローいれてる。
私はそっと蛍くんの隣に立つ。
『山口くんやっぱりサーブのこと気にしてるね。』
「そうだろうね…でも、僕達がいくらフォローしても山口自信が納得しなかったらこれからも変わらない。」
『そうだね…』
ここで手を差し出したら伸びるものも伸びない。
わかってる。
ここからは山口君がどう行動するか。
それにかかってる。
がんばれ山口君。