第29章 代表決定戦1日目
タイムアウトが終わり、プレー再開。
2セット半ばにして条善寺のスイッチが入ったみたいだ。
条善寺は先ほどよりもっと楽しそうにプレーをする。
烏野メンバーはやや翻弄されているみたいだ。
それでもブロックは相手のボールをドシャットしているし、レシーブは綺麗に上がる。
あれ?
日向君の速攻にブロックがつかない?
ブロックで止めるより勢いの落ちたタイミングでレシーブする方が繋げるって気付いたか…
スパイクをうまくレシーブして打ち返してきた。
条善寺はタイムアウト前とはうって変わって新しい遊びを見つけた少年のように目をキラキラさせている。
日向君、ブロックされてないからかすごくイライラしてるのが観客席からでもわかる。
お?影山君にこそこそ何か話してる。
次の速攻は綺麗に決まった。
続けて速攻を打つが至近距離からレシーブ
そのまま点を決められてしまう。
日向君悔しそうだな…
ん?大地くん日向君に何か言ってる。
日向君の目が輝いてる。
もしや、この後日向くんやらかしてくるか?
その後、綺麗にフェイントがきまり嬉しそうに仲間の方を向く日向君
それを見て親指を立てる澤村くん。
さっき言ってたことが上手く決まったみたいだね?
マッチポイント
「お前ら、本気で遊ぼうぜ‼︎」
土壇場でも強気の言葉。
言葉と同様、プレーも強気。
条善寺がシンクロ攻撃を行う。
「気をつけろ!さっきとは違うぞ!」
繋心センパイが叫ぶ。
スパイクが決まる。
綺麗に決まった…?
いや、アウトだ!
セットポイント2-0
烏野の勝利!
これでベスト8!
試合後の条善寺のやりきれないというかやり足りないって顔が忘れられない。
マネージャーさんは3年生かな?
寂しそうな背中
最後の試合。
私もそうだったな。
感傷に浸りながら私は観客席を後にした。