第28章 ヒミツの特訓?
『月島さん、詳しくお話しありがとうございました。』
メンバーの紹介や特徴、試合の経歴など明光さんに教えていただいた。
明光さんは話がうまく、メンバーの紹介などを面白おかしく話してくださったため取材が終わる頃には練習も終わりの時間を迎えていた。
体育館内にはほとんど人はいない。
「この後、食事でもどうですか?もっと椎名さんとお話ししたいです。」
にこにこと食事に誘ってくれるのはさすが社会人というか…
慣れていらっしゃる。
仕事として食事にいくのは別に構わないんだけど…
「椎名さんと個人的に仲良くなりたいなぁなんて…」
これは…
確実に狙われてる感じですよね?
でも無下にはできないし…
どう切り抜けようかと考えあぐねていた時、ぐいっと後ろに体が引っ張られた。
「蛍?」
『蛍君?』
「この人、僕のだから手出したら兄貴でも許さないよ…」
ちょ!蛍君!
明光さんびっくりした顔してるよ!
「あ…なんかすいません…」
『いやいやこっちこそ!せっかくお食事に誘ってくださったのに!』
「兄貴下心見え見え…」
『蛍くん!』
「僕、帰るから…」
『ちょっと!蛍君!』
蛍君はあっという間に体育館を出て行く。
追いかけようとするが、仕事できているのを思い出し踏みとどまる。
しかし、明光さんがトンと背中を押す。
「俺のことはいいんで追ってください。
今度またゆっくりお話をさせてください。」
『でも…』
「うちの弟気難しいんで追いかけないと余計拗ねちゃいますよ?」
にこりと笑って背中を押されるので、その場でくるりと回り頭をさげる。
『今度お礼させてください!失礼します!』
そして玄関に向かって走り出したのだった。