第28章 ヒミツの特訓?
『蛍君⁉︎』
ついつい声を上げてしまうと、月島さんは私の方を見てちょっとびっくりしたような顔をした。
「あれ?蛍と知り合いですか?おーい!蛍!」
あーー!明光さん!呼ばないでー!
明光さんに呼ばれた蛍君がこちらを向く。
私はとっさに鞄で顔を隠す。
しかし、そんなことで私の存在は隠れるわけがなくて…
キュッキュッと体育館を歩く音。
その音は私の眼の前で止まる。
「なんでいるんですか…夏乃さん。」
『え…っと……仕事で…』
「蛍!こんなに美人さんと知り合いだったのかよ!」
あなたの弟の彼女ですなんて言えない…
『今、烏野高校の男子バレー部の取材も行っていまして…』
「そうだったんですか。蛍!こんな美人な方知り合いにいるんなら紹介してくれよー。」
「やだよ…」
蛍君に兄がいたのは知ってたけど実際姿を見てみるとちゃんと兄弟だなぁって思う。
実際、悪態はついてるけどいつもより嫌味はマイルドだし。
まぁ、視線で色々訴えてきてるからあんまり余計なこと喋らないようにしないと…
そう思い、いつもより気を引き締め取材に臨んだのだった。