第28章 ヒミツの特訓?
着いたら連絡を、とのことだったので体育館の入り口で電話をする。
4〜5コール鳴らすと電話を取る音が聞こえたので、話をし始めた。
『お世話になっております。○○出版の椎名です。今、着きました。』
「わかりました!玄関まで迎えに行きますね?」
電話を切ると、体育館の方からキュッキュッと走る音が聞こえてきた。
色素の薄い髪色。
人懐っこそうな笑顔。
「椎名さんですか?」
『はいそうです。加持ワイルド・ドッグスの…』
「月島です。月島 明光(あきてる)と申します。」
月島…?
電話連絡したときから引っかかるものはあった。
でも、実際姿を見てみたら疑いは確信に変わる。
似てる。
蛍君に、似てる。
『月島さん…つかぬ事をお聞きしますが…月島さんって弟さんいらっしゃいませんか?』
体育館に向かいながら聞いてみれば、すごく不思議そうな顔をしてくる月島さん。
「…?高校生の弟がいますよ?どうしてですか?」
『…ちょっと知り合いの高校生と似ていたもので…』
体育館に入ると、メンバーは試合を行っているようだった。
「うちの弟なら今、あそこでブロック飛んでますよ?」
……え?
この体育館で練習…してる?
目を凝らしてコートを見てみると、そこにいたのは、
蛍君だった。