第22章 怒涛の東京出張‼︎1日目
side月島
一ノ宮さんの後ろを追い、廊下を歩く。
ある扉の前で止まった一ノ宮さんは扉をノックした。
「せーんぱーい!準備できましたかー?」
すると夏乃さんは扉を少しだけ開けて対応してきた。
『一ノ宮…なんか悪いこと考えてることはなんとなくわかってたけどこれはないわ…』
「大丈夫ですって!先輩細くてかわいーんだからいけますよー!」
そう言い一ノ宮さんは、無理やりにドアを開け部屋の奥に逃亡しそうな夏乃さんの腕を引っ張り無理やり廊下に出す。
廊下に出てきた夏乃さんはさっきまでのスーツ姿ではなかった。
白の肩が出たふわっとした素材のトップスにネイビーの膝上のスカート。
ベージュのロングカーディガンを羽織り、黒ぶちの伊達眼鏡をかけていた。
靴は白の光沢のあるハイヒール…パンプスっていうんだっけ?を履いている。
なんというか…今自分が着ている服装と酷似している。
僕と目があった夏乃さんは顔を赤くして今出てきた部屋に戻ろうとする。
それを拒むように一ノ宮さんが部屋の入り口を閉じてしまった。
『いちのみやっ!私の撮影自体はOK出したけどこれは無理!絶対無理!』
断固拒否。
そんな夏乃さんを説得する一ノ宮さん。
僕が割って入ろうかと思って顔を上げれば一ノ宮さんが僕を見て目配せをする。
きっと説得しろってことなんだろうな…
僕はため息をついて夏乃さんに近づいた。
「夏乃さん…多分撮影しなきゃずっとこのまま。終わらないですよ?」
『でも、でも…』
それでも拒否をする夏乃さんを説得するために頭をフル回転させる。
「夏乃さん、
その格好可愛いデスよ?いきましょう?」
僕は少しだけ微笑み、手を伸ばすと夏乃さんは頬を赤く染め、おずおずと手を取った。
そして僕達は、撮影スタジオに向かって歩き出した。