第3章 初夏 再開
先生に挨拶をして玄関に向かうとちょうど片付けを終え帰宅するバレー部のみんなと遭遇した。
「あっ!椎名さん!」
名前を呼び笑いかけてきたのは菅原くん。
『菅原くん!みんなも練習お疲れ様!』
「「「おつかれさまーっす!」」」
体育会系独特のまとまった挨拶が校舎に響く。
パンプスを履く私の横に駆け寄ってきた菅原くんは自分のスマホを顔の横で振る。
「椎名さんさっき言ってた連絡先なんですけど、メッセージアプリでもいいですか?」
『いーよー!今日歩きだから帰りながらでもいい?』
2人で話していると、近くから2年コンビの叫び声。
「あーーー‼︎‼︎」
「スガさんずりぃっす!女神の連絡先をゲットするなんて‼︎」
「スガさんうらやましすぎるぜ!」
それを境にオレもオレもと連絡先を聞かれるため仕方なくその場にいた全員に教えることに…
『イタズラしたらすぐブロックするからね!』
みんなの返事を聞き、歩いてると菅原くんがススっと隣にきた。
「タイミング悪かったっすね。すいません。」
『いーよー菅原くんは気にしないで?』
「…し…」
菅原くんが何か言った時に誰かの声が被ってしまったため、ききなおす。
『ん?』
孝支って…名前で呼んでくれませんか?
ふわりと優しい声が耳に響いた。