第3章 初夏 再開
部活が終わり、みんなに挨拶をすると私は職員室に向かった。
と、そこに職員会議を終えた武田先生が戻ってきた。
『武田先生!本日はありがとうございました。明日もよろしくお願いします。』
あれ?先生目がうつろ…
「こちらこそありがとうございました。」
と、無理やり笑顔を作る先生。
『あの…どうかされました?テンションが低いというかなんというか…』
「あ…顔に出てましたか?スミマセン。ちょっと教頭先生からお小言を食らってしまいまして。」
合宿は7月から何回かになるらしいのだが、7月ということはあれがあるわけで…
そう、テスト
赤点とったら休日補習だよなぁなんて考えてたら、武田先生がため息をつく。
「みんな頑張り屋さんなんですけどね…4人ほど成績が振るわない子がいまして…それも全員レギュラーなので置いて行くわけにも行かなくて…」
そりゃあ先生の目がうつろになるわけだ…
『あのー…もしよければ仕事少ない時にでも勉強教えましょうか?』
あぁ…先生きょとんとしてる…
『ええっと…今日練習を見させていただいたんですがこれだけみんな練習頑張ってるのに赤点で合宿行けないなんてかわいそうだなぁと思って。
あと、合宿って聞いた後のみんなの目がキラキラしててどうしても行かせてあげたいなーなんて…』
「でもお仕事お忙しいんじゃ…」
先生は申し訳なさそうな顔で私を見てくる。
『私の仕事はなんとかなります。実は…私ここの学校のOBなんですよ。後輩が頑張ってる姿応援したいんです!』
先生は少し悩んだ後、ちょっと困ったように笑った。
『わかりました。ではよろしくお願いします。』