第17章 合宿最終日‼︎〜ラストの試合は梟谷と〜
「あ…あの烏養君…」
武田先生が繋心センパイに声をかけた。
「正直ぱっと見では前の「変人速攻」との違いがわからないんですが…」
確かに見ただけじゃああれはわからないよねぇ。
私もわかってないし。
そんな私達に繋心センパイは説明をし始めた。
「前の速攻は日向の打点をズバッと『通過する』トス、
新しい速攻は『スパイカーの最高打点=ボールの最高到達点』にしようとしてるんだ。
ボールの「前に進む力」が死んで落ちる瞬間
ボールが通過してた時より一瞬の余裕ができる。
その一瞬があることが決定的な差だ。
空中で日向の選択肢が増える。」
「『おお…』」
武田先生と2人、感激をしている間に試合は進んでいた。
さっきのようにボールが影山君の方に来る。
新速攻くるか⁉︎
そう思ったがトスは日向君の手前で落ちた。
まだ毎回打てる訳ではないみたい。
練習が必要だね。
「あららー…さっきまでの神がかり的な集中は途切れちゃったかな?」
武田先生も苦笑いをしている。
コートではにかり、澤村くんが笑う。
「そんな時こそ?」
「『センパイ』の出番ですな?」
そう笑ったのは田中くん。
日向君たちに感化されたのか、他のメンバーも少しずつ新しいプレーをしていこうとしているみたいだ。
そんなみんなを取り逃がすまいと私は慌ててカメラを構え直した。