第3章 初夏 再開
『つ….きしまくん…』
正直に言葉に出してしまった後にふと我に帰る。
『でもっ!春にここの高校にきた時に会ったからってだけよ?』
私の言い訳じみた言葉に本当ですかーなんて言いながらぐいぐい前に出てくる菅原くんに澤村くんがチョップをかまし、引きずり戻してくれた。
た、助かった…
『それに…』
菅原くんに向き合うと少しの隙を狙っておでこにデコピンを叩き込む。
『女の人に冗談でも美人とか気になるなんて言ったら勘違いされちゃうよ?だからむやみに使っちゃダメよ?』
なんて言いながら微笑むと、菅原くんはデコピンされた場所を押さえながら照れ笑いをしつつ年相応の笑顔で笑ってくれた。