第3章 初夏 再開
練習中の写真を数枚撮らせていただいた後、部長、副部長から話を聞くことになった。
「部長の 澤村 大地(さわむらだいち)です。」
「副部長の 菅原 孝支(すがわらこうし)です!」
部長くんはいかにも部長って感じ。どっしり構えた大黒柱って感じね?
副部長くんは目元のホクロが特徴の笑顔の可愛い爽やか少年!
さっきから気になってはいたけどみんなかっこいいわよねーなんて考えながら取材を開始した。
部員のことやインハイ予選のことなどを聞き、ノートに書き記している間も少し緊張している澤村くんの脇腹に菅原くんがチョップをかましたりしてちょこちょこ笑いを提供してくれた。
でもやっぱりちょっと気になるのは
桜の下で出会った彼
無意識に目で追っていたのを菅原くんに気づかれたようでニヤリと意地悪く笑いながら聞いてくる。
「椎名さん?さっきから誰のこと見てるんですか? こっち見てくれないとこーしくんさーみしー」
『ふえっ!』
「こらっ!スガ!何言ってんだ!すいません…」
『いいのよ。見てたのは事実だから…』
ちょっと困ってしまったため誤魔化すように微笑むが、菅原くんは全く気にする様子もなくどんどん畳み掛けてくる
「誰のことみてたんですかー?オレ椎名さんタイプだから気になるー!」
「ちょっ!スガッ!」
澤村くんも止めようとしているのがわかるが菅原くんの方が一枚上手なのか口元を塞がれそうになった手をさっとかわし、ぐいぐい聞いてくる。
「だって椎名さん美人さんだから好みのタイプとか気になるべー?なー大地?だれだべー?」
顔を覗き込まれれば相手がいくら年下でもドキドキしちゃうわけで…
いつのまにか私は、ぽつり、名前を呟いていた。