第13章 夏の長期合宿2日目‼︎
蛍君はまたぽつり、ぽつりと話し始めた。
「でも兄貴も多分信じようとしていたんです。
頑張れば、努力すればレギュラー入りして試合で活躍できると…
でもなれなかった。」
爪が食い込むほどに握りしめられた手を私はそっと握る。
それに気づいたのか、目が合う。
私は何も言えない代わりにそっと微笑んだ。
すると蛍君は意を決したように私に語りかけた。
「今日山口に怒鳴られたり…木兎さんの話を聞いたりしたら、なんとなく……だけど前よりは何か掴めたような、そんな気がしました。」
『じゃあ、大丈夫かな?』
私の問いかけに蛍君はこくりとうなづく。
そして、私に聞く。
「夏乃さん、抱きしめても…いいですか?
昨日…あんなことしておいて…」
私は答えを口に出す前に自ら蛍君の胸に飛び込んだ。