第13章 夏の長期合宿2日目‼︎
蛍君が体育館内に入ると2人のキャプテンに早速絡まれていた。
「おやおや?」
「おやおやおや?」
黒尾くん、木兎くんの絡みにちょっとムッとした顔をしていたのか蛍くんに赤葦君がフォローを入れる。
「昨日はごめんな?月島」
「それについてはまた後で…聞きたいことがあるんですけどいいですか?」
律儀に聞くとキャプテン2人がいーよーと返事をしてくれた。
「すみません、ありがとうございます」
私も中に入って話を聞きたかったが今行ったら空気を壊す気がするので体育館前にある小窓から覗きながら話をきくことに決めた。
「おふたりのチームはそこそこの強豪ですよね?」
そこそこという言葉にむっとした少々イライラした声で黒尾君が返事をする。
その返事を聞くとまた、蛍君が切り出す。
「全国へ出場できたとしても優勝は難しいですよね」
さらにイライラがヒートして木兎君は言い返してきた。
「不可能じゃねーだろ!」
そこを赤葦君がフォローに回る。
「まぁまぁ聞きましょうよ。仮定の話でしょ….」
そこで蛍君はみんなに向き合い、こう切り出した。
「僕は純粋に疑問なんですがどうして必死にやるんですか?
バレーはたかが部活で将来履歴書に「学生時代部活を頑張りました」って書けるくらいの価値じゃないんですか?」
「ただの…部活?」
言い返されると思ったのか蛍君の表情が一瞬こわばる。
「ただの部活って
なんか人の名前っぽいな…」
…は?
「おお…タダ・ノブカツ君か!いや待てちげーよ!たかが部活だよ!」
「ぐあぁ!そうかー!人名になんねー」
「惜しかった!」
もうツッコミを入れることさえ疲れそうな会話だ…
赤葦君、蛍君もそう思っているようで「ツッ込んだほうがいいですか?」「いいよキリが無いから」なんて呆れながら話をしている。
さっきの緊張感のあった会話はどうした。