第13章 夏の長期合宿2日目‼︎
私は蛍君と山口君が心配になり、そっと外に出た。
暗い通路を歩いていると遠くから叫び声のようなものが聞こえた。びっくりして声のした方に近づくと山口君が蛍君に駆け寄るところだった。
さっきの叫び声は山口君がツッキーって蛍君を呼んでいる声だったみたい。
山口君は息を整えながら蛍君に気持ちを伝える。
「ツッキーは昔からなんでもスマートにかっこよくこなして…俺いつも羨ましかったよ?」
「だから?」
蛍君は冷めた目で山口君を見つめている。
山口君はいつもより強気に蛍君に話しかけた。
「最近のツッキーはカッコ悪いよ‼︎‼︎
日向はいつか『小さな巨人』になるかもしれない。
だったらツッキーが日向に勝てばいいじゃないか!
日向よりすごい選手だって実力で証明すればいいじゃないか!
身長も頭脳もセンスも持ってるくせに!
どうして『こっから先は無理』って線引いちゃうんだよ⁉︎」
蛍君はいつもより感情の高ぶった声でイライラを山口君にぶつけた。
「例えば…すごく頑張って烏野で一番の選手になったとして…
そのあとは?
万が一にも全国に行くことができたとしてその先は?
果てしなく上には上が居る。
たとえそこそこの結果を残しても絶対『1番』になんかなれない。どこかで負ける。
それをわかってるのにみんなどんな原動力で動いてんだよ⁉︎」
蛍君は最後の方には怒鳴るような言い方だった。
きっとこれが蛍君の本音。
どうして最後には負けることがわかっているのに何故本気で戦っているんだ。
努力をするんだ。
そんなもの無駄じゃないか。
そんな思いが伝わってきた。
するとぐっと下唇をかみしめていた山口君が蛍君の胸倉を掴み本気で怒鳴った。
「そんなモンッ
『プライド』以外に何が要るんだ‼︎」