第13章 夏の長期合宿2日目‼︎
ある試合中のことだった。
みんな気合いが入っているのか烏野のコートは接触プレーが目立つようになっていた。
怪我しないか心配ながら試合を見ていると、少し短めのトスが上がる。
ちょうど東峰くんと日向くんの間。
日向くんがボールめがけて飛ぼうとするのがわかった。
しかしその時、コートの空気がざわり、変わった。
東峰君だ。
自分のボールだと言わんばかりに殺気を放つ。
日向君もそれに気づいたのか飛ぶことを止めボールを譲り、東峰君はスパイクを打った。
きっとみんなその殺気に気づいた。
最近の接触プレーは強くなりたい、そう思うがためのがむしゃらなプレー。
でもそれだけじゃダメだ。
ひとりひとりが強くなろうと思うだけじゃダメなんだ。
『エースである東峰君が自分のために上がったボールを自分のものだと主張する』ことにより、ばらばらになっていたコート内の雰囲気がぐっと一つに引き締まった。
さすがエース。
もう、外から見るだけしかできない私の心配する気持ちなんて不要なのかもしれない。
だってみんな、もう、生き生きした顔でボールを追っているんだもの。