第13章 夏の長期合宿2日目‼︎
私は壁に寄りかかりながら座る赤葦君の隣にしゃがんだ。
「昨日…大丈夫でした?あの後…」
『ん…』
首だけを動かすようにこくんとうなづく。
「悪気は…あったと思いますが…許していただけませんか?」
『許すも何も私もいろいろ悪かったわけだし…』
言いながら昨日のことを思い出し顔が火照る。
「えーっと…まあ、これからも普通に話をしていただけたら嬉しいんですが…」
そんな風に話をしていると空いているコートから木兎君が「あかーしー」って呼んでいるので、私は行くように背中を押した。
赤葦君は木兎君に返事をし、1度向こうに行きかけたが戻ってきて頭に手を置いたかと思うと耳元で呟いた。
「前髪に寝癖ついてますよ?
俺としてはあのまま最後まで俺の物にしたかったですけどね?
一生懸命僕のこと求めてくる椎名さん、かわいかったですよ?」
去り際に獲物を見るような目で私の目を射抜く。
獲物を見つけた蛇のように舌舐めずりをし、嗤う。
その表情は高校生とは思えない妖艶さで、背中を指でなぞられたようなぞくりという、快感にも似た感覚を覚えた。