第12章 合宿の夜にはキケンが付き物
side月島
誰もしゃべらなかった。
僕もしゃべらず夏乃さんに近づいた。
その空気に気づいたのか夏乃さんは上半身を起こし僕を見る。
『けーくん?』
酔っているのか顔も身体も赤い。
目は潤み、いつもより幼い顔をしている。
そして胸元は今までの行為を物語るようにだらしなく緩んでいた。
僕がつけた「痕」も
女性らしいたわわな胸も
全てさらけ出していた。
僕は腕にかけていた烏野バレー部のジャージを持ち直し彼女に近づく。
「夏乃さん…立てますか?」
僕に促されるようにして夏乃さんはその場に立ち上がる。
ジャージを彼女の肩にかけると腕を引き胸に抱く。
「僕の彼女がお世話になりました」
きっと顔は笑っている。
でも空気は冷たいままだ。
部屋を出ようとすると後ろから赤葦さんの声が聞こえた。
「未遂だよ…大丈夫とは言えないけど…」
「…どうも……」
僕は後ろ手でドアを強引に閉めた。