第10章 雛鳥たちの変化と葛藤
合宿出発日、午後1時。
私は準備を済ませ遅めの昼食をとろうと準備を始めようとしていた。
するとインターホンが家中に鳴り響く。
今日は来客はないはず…
なんて思いながら玄関に向かった。
ドアを開けるとそこにいたのは
蛍君だった。
『どうしたの?蛍君』
「家に居たくないから…」
合宿の準備も終わっているようで荷物も持ってきたみたい。
『親御さん心配してない?』
「山口の家から真っ直ぐ行くって伝えたから大丈夫。」
そわそわ、そわそわ。
なんだろう。
いつもの蛍くんと違う。
『何かあった?』
何かないわけがない。
でもきっと、別にって帰ってくるんだろうなって思ってた。
そしたら、今回はちゃんと答えが返ってきた。
「昨日、兄が帰ってきたんです…」
え?お兄さんいたんだ。なんて思っていると靴を脱いだ蛍君がもうリビングのほうに進んでいた。
「夏乃サン?置いていきますよ?」
リビングの扉を開けながら呼ぶ蛍君の後を追って私もリビングに向かった。