第1章 あなたのコンプレックス。
「うーん、そりゃあ前まではそうだったけどさ?
でも今あたしが好きなのは渚だよ。
背とか別に気にしないかな」
「ホントに?」
「うん、ホント。
って渚はどうして身長にこだわるの?
なんか異様に執着してるよね」
「え?…言っても引かない?」
「もちろん!
渚のことならなんだって知りたい」
「…キス」
「へ?」
「キスするにも沙織に少し屈んで貰わなきゃ出来ないじゃん!
僕だって男だから、出来るなら自分からしたいし…。
それに…恋人同士に見られない…じゃん」
なんだか泣きそうな顔の渚。
あたし達は一緒に居ても兄弟とか友達にしか見られない。
クラスの皆も全然理解してくれなかったんだから。
それじゃ流石に渚も傷つくよね。
「確かに恋人って分かって貰えないのは悲しいよ?
でもそれは渚の責任じゃないって」
「そうだけど…。
でもこうやって簡単に抱き込まれると、なんか悔しい」
「え?あ、ごめんっ。
そんなつもりじゃなかったんだよ?」
あたしってば知らず知らずの内に渚を傷つけてた⁉︎