第3章 ボクと捲簾
如来から渡された地図を見つつ、答えると捲簾は少し考え、よしっと立ち上がる。
捲簾「おれが連れて行ってやるよ」
蘇芳「断る」
名案だといった風に楽しそうに笑って言う捲簾に、間をおかず答えるとぽかんと口を開けて固まる。
捲簾「なんでだよ! 一緒に行った方が楽しいだろ?」
蘇芳「楽しい云々より、仕事はどうした仕事は」
子供のようにぶーぶー言っている捲簾に呆れながら言ってやると、捲簾は少しどや顔をしつつ胸を張って言う。
捲簾「大丈夫だ! 今回の仕事は耄碌爺どもの花見の護衛だからな! 優秀な副官と部下もいるから俺がいなくても大丈夫!」
どうやら、この男今回の仕事があまり好きではないらしい。
木の上で酒を飲んでいたのは絡まれないようにとかそういうことだったのだろう。
そのため、仕事を抜け出す口実がほしいのかもしれない。
捲簾「な? 一緒に言ってもいいだろう?」
蘇芳「そうは言ってもなぁ……」
すがるようにこちらを見る捲簾はどことなく母性本能とやらをくすぐられる気がしなくもない。
こうやって、女をたらしこんでいるのかこの男は。