第3章 a day in our life <双子2歳>
バスタオルでガシガシと頭を吹きながら翔が言う。
「風呂、栓、抜いて洗っといたから」
「翔さん、ありがとう。ビールでいい?」
「ビール、ありがたい!潤ありがとう」
「翔ちゃん、つまみもあるよ」
テーブルにあるつまみの入った皿を翔の方に押しながら雅紀が言う。
「サンキュー」
ビールを喉に流し込み、ぷはーっと一息ついた翔。
「おやじみたい」という潤に「おやじだもん」と返す翔。
それをニコニコしながらみてる雅紀。
この家のお馴染みの光景。
「あっ、そうだ。二人とも今日はありがとね。
俺、全然父親らしいことしてないよね…。
ごめんな」
「なに言ってるの?
確かに戸籍上は翔さんが父親だけど、俺だって二人の父親のつもりだよ?」
「そうそう、やれることをやれる人がやるってきめたでしょ?
それが今日は俺と潤くんだっただけじゃん?
気にしない、気にしない」
口々にいう潤と雅紀。
そうだった、俺たちはこうやって生きていくって決めたんだもんな。
そう思ってふたりにもう一度「ありがとう」と言った。
「あっそうだ、翔さん、半休とか取れる?」
「うん、別に大丈夫だと思うよ?どうして?」
潤の突然の問いかけに疑問が浮かぶ。
「もうすぐこれがあるの」
そう言って一枚のプリントを翔の前に差し出した。
<a day in our life <了>>