第15章 SAKURAドロップス <双子3歳>
しばらくして潤が合流するとタイミングを合わせるように起きた智と和也。
朝と違って午睡明けはグズることの多い双子に一瞬身構えた大人たち。
でもこの日はグズることもなくスっと起きた2人。
なぜなら2人して目の前にあるアイスクリームの写真にロックオンしてたから…。
そのまま2人はアイスクリームを注文してもらい、仲良く2人で1つのアイスクリームを食べる。
「あのね、ほいくえんでね…」
「あのね、まゆせんせいがね…」
「ひなちゃんときみくんがね…」
「このあいだね、しゃとね…」
2人はアイスクリームで口の周りを汚しながら保育園での出来事をバラバラに報告してくる。
「2人ともよく喋るようになったよね」
翔がしみじみと言うのには訳がある。
「ほんと、2歳児健診で指摘された時は結構ドキドキしたよね」
コーヒーフロートを飲みながら潤も思い出したように言う。
「でも言ったじゃん、二人とも発達に問題ないからって、個性だからって」
そう話す雅紀は小児科医の顔をしてる。
毎日たくさんの子供たちを見ているからこそ言えるその言葉を翔も潤ももちろん信じている。
だから二人とも「おっしゃる通り」と笑いながら雅紀に返した。