第14章 虹のカケラ <双子5歳>
「智!和!夕飯の時間だよ。
テレビは終わりにしてテーブルについて」
潤が盛りつけた皿をテーブルに載せながら声を掛ける。
「うーーん、あとすこし…」
智は潤の声を無視してテレビを見ている。
「そんなに見てたって急には変わらないよ、台風は…」
「でも…」
なおも抵抗する智に潤のカミナリが落ちる前に、双子を保育園からピックアップしてきてから潤を手伝ってた雅紀がフォローに入る。
「大丈夫、台風は坂本先生が吹き飛ばしてくれるって言ってたんでしょ?
だったら、智はちゃんと夕飯食べよう?
夕飯食べて元気でいないとお泊り保育にいけなくなっちゃうよ?
そんなのいやでしょ?」
「やだ…」
「じゃ、ご飯食べようね?
今日は智の好きなお刺身と肉じゃがだってよ。
あ、ほうれん草もちゃんと食べようね?」
雅紀に促されて席についた智は和也といただきますをする。
潤と雅紀も席について食べ始める。
「二人とも、そんな顔しなくても台風は大丈夫だよ。
針路が外れることもよくあるし…」
「そうだよ、みんなが楽しみにしてるのは神様も知ってるから…。
きっと大丈夫」
そう言って雅紀が太陽みたいな笑顔をみせた。