第12章 promise <双子10歳>
「智!和也!ちょっと降りておいで!」
階下からきこえる翔の怒鳴り声。
部屋にいた双子は顔を見合わせる。
「智、なんかヤバイことした?
翔ちゃんがキレるようなこと…」
「してないよぉ。
和こそ…なんかやったの?」
「ううん、心当たりZE~RO~♪」
翔が最近担当するようになったニュース番組のタイトルをパクって答えた和也とそれに笑う智。
階下の翔の声にもまだまだ余裕を見せていた二人。
そんな二人に翔が知ってか知らずか更に苛立つた声で叫ぶ。
「聞こえてんだろ?早く降りてこいよ!!」
語尾の強さにさすがの双子もビビって身体が跳ねた。
次の瞬間、双子は争うように部屋を出て一気に階段を駆け下りた。
リビングのドアを開けると仁王立ちの翔とそこには居ないと思っていた雅紀と潤の姿もあった。
「え?なんでまーくんと潤くんがいるの?」
「それだけで重要なことだから…」
智の口からぽろっと零れた一言に雅紀は若干冷ややかな声で答える。
どんな時も笑顔で明るい雅紀の冷ややかな態度に智の背中がすっと伸びた。
「予定変更して帰ってきたんだよ」
腕組みした潤がいつも以上に強い視線を双子に送りながら硬い声で答える。
智も和也もその目力にたじろいだ。