第9章 小さな恋のうた <双子4歳>
「うーんと、おそろい?」
「さとともいっしょ?」
和也と智が矢継ぎ早に質問してくる。
「そうだね、お揃いだね?
二人とも、おしゃべりもいいけどパパ、そろそろ手を洗ってきて欲しいんだけど?」
翔の一言にダッシュで洗面所に駆け込む。
そんな双子を笑いながら見ている翔と雅紀。
「しかし、大変だね。
休園期間決まってるからさ?
それに合わせる訳だろ?」
「でも休園出来るだけマシみたいだよ?
うちのナースさんたち言ってたもん」
「ふーん、なんか色々面倒くさいんだね。
ほんと、色々優しくない気がするよ」
「だったらさ、翔兄が番組で取り上げたら?」
「企画挙げたけど、蹴られた。
それこそ色々あるらしいよ?」
翔が苦笑いしながら言う。
そこに双子たちが手を洗って駆け込んできた。
「手、キレイにしてきた?
で、ふたりとも何貰ったの?」
翔の問いかけに二人は袋から勢い良く中身を取り出した。
「これー!」
二人の手の上に乗っかったのは小さなぬいぐるみの付いたキーホルダー。
フロリダのディズニーランドのミッキーマウスが笑ってる。
「お、いいの貰ったじゃん!
保育園のバッグに付ける?」
その一言に大きく頷く二人。
次の日から保育園に向かう二人の背中には揺れながら笑うミッキーマウス。
まるでおかえりって言うみたいに笑ってた。
<小さな恋のうた <了>>