第9章 小さな恋のうた <双子4歳>
いつものようにガレージに車を停めた翔。
元気に迎えてくれるであろう双子のことを思いながら玄関までの短い道のりを歩く。
いつものようにガチャリとドア音を上げながら玄関に入る。
…がいつもの弾丸のような双子の襲来はなく…。
「ただいま…」
いつもと違う雰囲気についつい小声で帰宅を告げる。
リビングのドアを開けるとそこには4人の姿があり、小さく息を吐いた。
「居たんだ…」
小声でつぶやいた翔に気が付いた潤が声をかけた。
「あっ、翔さん、お帰り。
お疲れ様、夕飯用意するから着替えてきて?」
「…あぁ、うん」
返事はするけど動かない翔の様子に気が付いた雅紀。
「翔兄?どうしたの?疲れた?」
「いや…そうじゃなくて…」
「あぁ…二人?」
「うん」
「もうちょっとでひと段落着くと思うんだ。
だからさ、着替えてきなよ?」
「翔さん、もうすぐ出来るよ?」
潤がキッチンから顔を出して言う。
「わかった!」
鞄を持ち直した翔が返事をしながらリビングを出ていった。