第8章 お正月 <双子6歳>
「ここだけじゃなくてあっちこっちの広場に人がたくさんいてね?
カウントダウンをして、新年になった瞬間、近くの人とお祝いのキスをするんだよ?
今年一年が素敵な一年になるようにって祈りを込めてね?」
斗真が智と和也にここでのカウントダウンの定番を教える。
それを聞いた智と和也は視線を交わす。
「さぁ、カウントダウンダウンだ!」
周りから聞こえる声。
『Twenty! (20)』
『Nineteen! (19)』
『Eighteen! (18)』
当たり前だけど英語でのカウントダウンのコールがここが日本でないことを教えてくれる。
双子にとっては初めて起きたまま迎える新年。
ドキドキしながらカウントダウンに湧く周囲の空気に興奮を隠せない。
「Five! (5)」
周りの声に合わせて智と和也も声を出しはじめる。
「Four! (4)」
「Three! (3)」
「Two!(2)」
「One! (1)」
「Happy New Year!!!!!!」
ベランダにいた6人の声が揃う。
そのまま智と和也は可愛くキスをして、次の瞬間、大好きな3人に次々とキスしていった。
びっくりする翔たちに子どもたちは嬉しそうな顔で笑う。
「斗真も!」
智と和也が左右両側から斗真を挟み、そのほほにそっとキスをした。
「まったく…」
「智と和は…」
「敵わないよなぁ…」
ぼやくようにいうけど嬉しそうな3人。
こうして、櫻井家の新しい1年がはじまった。
<お正月<了>>