第8章 お正月 <双子6歳>
「色々あるよ?
ミイラとかギリシャの彫刻とか?」
「石碑とかもあるよね?
ロゼッタストーンだっけ?」
「うん、まぁ見てみて面白くなかったら自然史博物館に行こう?
まだ二人には難しいかもしれないしね?」
翔が言うと雅紀たちが頷いた。
「翔さん、入館料って…」
「ここは無料だよ。
ロンドンは大きな博物館や美術館はタダのところが多いよね?
日本だとこうはいかないもんなぁ」
そんなことを話しながら5人は巨大な建物の中に入っていった。
年末にも関わらず結構な人がいることに驚く。
入口の大きな広場を抜けると広い回廊のような通路が見える。
幾つもある展示室を繋ぐ廊下。
その中で人だかりができている場所がある。
地図を見て何があるのをかを確認する潤。
「あれ、ロゼッタストーンみたいだよ?」
「なーにー?なにがあるの?」
「ロゼッタストーンってなに?」
智と和也が興味津々で聞いてくる。
「見ながら説明してあげるね?
雅紀も苦手でしょ?
この手の話」
翔が双子の手を引きながら雅紀に言うと、雅紀も笑いながら頷く。
「まーね?俺、理系だからね?
世界史なんて、中二以降やった記憶無いもん!」
「雅紀…それ、威張れないと思う。
まぁ、俺も日本史選択だったから名前ぐらいしか解んないけど?」
潤も頼りないことを言い出した。
「ここの分野は翔さんが一番、詳しそうだよね?」