第8章 お正月 <双子6歳>
潤が合流して、再び5人になった一行。
この日は子どもたちも食べやすいものをと言うことでイタリアンにすることにした。
イギリスで不味いものはイギリス料理だけと言われている。
かつて世界中にその影響力を誇っていたこの国には他国の料理が人々とともに流入した結果、世界中の料理が食せる状態になった。
そのいずれもがおいしいので「イギリスで一番不味いのはイギリス料理」には納得できる。
基本的に大味で、湯で時間がおかしいのかゆでた野菜などは茹で汁の方が栄養素があるのでは?といいたくなるレベルである。
それでもフィッシュ&チップスなどまぁ食べれるものはいくらかはあるのも事実である。
レスタースクエア近くのイタリアンレストランに入った5人。
「今夜は飲まない?」
潤がワインリストをみながら言う。
「いいねぇ。
3人なら1本ぐらい余裕で空くでしょ?」
雅紀もそれに乗っかる。
「そうだな、たまにはいいかも?」
子どもたちがいる場ではあまり飲まないようにしている翔が珍しく賛同した。
「赤にする?白にする?」
潤がウキウキしながら聞いてくる。
「任せるよ、俺、詳しくないし。
智たちはなににする?
パスタがいい?それともピザか?」
翔が智たちの顔を見ながら言う。
メニューは当然英語。
読めない2人は微妙な顔をしつつも翔に聞きながらメニューを決めた。
「翔兄、食べ物適当に注文するよ?」
雅紀の声に頷く翔。
しばらくしてテーブルに乾杯の声が響く。
子どもたちはグレープジュースで乾杯した。