第2章 Family ~ひとつになること <双子0歳>
そんな5人を見ながら松岡が声を掛ける。
「気をつけて帰れよ。
翔、無理するなよ!」
「ありがとうございました…松岡先生」
笑いながら言う翔。
同じく笑顔の雅紀と潤も頭を下げ病棟を後にする。
なにもかもが初めてのこと。
チャイルドシートに双子たちを乗せるのにも悪戦苦闘した3人。
それでもなんとか乗せて家に戻る。
あっという間に着いた我が家。
車を停め、双子たちを車から降ろす。
「智、和、ここが二人のお家だよ。
今日から5人家族だよ。
お父さんとお母さんはいつもお空から見守ってくれてるからね。
みんなで幸せになろうね?」
二人に話しかける翔。
「さぁ、入ろうよ?
いつまでも外にいたら二人が風邪引いちゃうよ」
雅紀が声を掛ける。
荷物を持った潤が鍵を開け、中に入る。
後から入ってきた4人に声を掛ける。
「おかえりなさい」
翔と雅紀が笑顔で言う。
「ただいま」
これからきっと何度も言うことになる。
「おかえり」「ただいま」
いくつも重ねて家族になる。
きっと…きっと大丈夫。
初めて入る家に笑顔の智と和也。
この笑顔を守っていこうと心に決めた年末。
間もなく来る新年とともに…新しい一歩を踏み出した。
<Family ~ひとつになること<了>>