第5章 Fantastic Version <双子2歳>
スティッチのポップコーンバケツを首から下げた翔が爽やかな笑顔でパーク内のレポートをしている。
その様子をテレビの画面越しに見る双子。
しばらく続いたグルメ情報のあと、遂に流れた双子のVTR。
二人ともきょとーんとした顔で画面に映る自分たちを見ている。
「あれ、かじゅ?」
「さとだ…」
「そうだよ、だって二人とも『お仕事』したでしょ?」
潤が二人に声をかける。
画面をみたままの和也が返事をする。
「うん、かずもさともしたよ、おしごと」
「二人の昨日の『お仕事』はこうやってテレビに出ることだったんだよ?」
雅紀が言うとわかってるのかいないのか智がにこにこしながら言う。
「おちごと、ぱぱといっしょ~。またやるの~」
「かずも!」
さらに画面は切り替わり、いつの間に撮ったのか双子と手を繋ぐ雅紀と潤の後ろ姿が映っていた。
すでにモデルとしての仕事もしておらず事務所を辞めているふたり。
あくまでも映り込んだ一般人という体だが…。
「うわ、やられた…」
頭を抱える雅紀、
「明日、病院でからかわれるかも…」
「とりあえずあとで翔さんと協議だな…」
目がすっかり弁護士モードの潤。
智と和也はまだ画面に釘付けだった。