第2章 Family ~ひとつになること <双子0歳>
双子たちが生まれたのは今年の9月15日。
9月なのに至極暑い日だった。
本来ならば11月の予定だった出産。
妹の体に起きた変化。
妊娠高血圧症候群といわれるもので結果的に妹の命と双子の命を守るために緊急で帝王切開が行われたと義弟の達也くんから聞いた。
達也くんって呼んでるけど実際には達也くんの方が年上だけどね…。
翔は仏壇にある妹夫婦の写真を見ながら思う。
今日、病院で双子の主治医と話し、退院の日が決まった。
次の土曜日。
暮れも押し迫り、テレビ局も年末シフトに変わる時期。
従って育児休職前の最終出演日はその前日の金曜日。
丁度年内の生放送が終了する日になる。
退院が決まると一気に忙しくなった。
まずは上司である東山に報告し、休職に向けた手続きを一気に進める。
同時に…番組を引き継いでくれる後輩の小山に渡す引き継ぎ書を仕上げに取り掛かる。
彼なら問題なく、1月から番組を進行してくれると思う。
もちろん、普段の番組出演や会社員としての雑務もこなすことになる。
一方、双子の受け入れにあたり必要な準備も進める。
家の中は赤ちゃんを受け入れる準備が着々と進んでいた。
将来的に双子たちの部屋にする予定の部屋の改装は既に済んでいる。
必要な家具などの搬入も済んだ。
双子たちの世話に必要な物の買い物などもほぼ終わった。
おむつ、洋服、哺乳瓶に粉ミルク。
それまで、家になかった様々な赤ちゃんグッズがものすごい勢いで家中を侵略している。