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【ハイキュー】ウシワカイモウト第二部

第43章 ・ローカル番組事変


白鳥沢学園高校学生寮、大平獅音の部屋に男子バレー部の連中が集まっている。部屋ではTVがついていて連中はそれぞれ座り込み茶やら菓子やらを口にしながら画面を見つめている。映っているのは地元の番組、自分らの主将である牛島若利が喋っていた。学生スポーツの特集枠のようである。
それぞれのスポーツについて一緒に出演している学生達が熱く語る中、若利は相変わらず愛想もへったくれもない調子で淡々と聞かれたことなどに応えている。若利らしいと仲間達は笑い合っていて和やかな時間であった。

そうして休日はどう過ごしているのかという質問に出演者がそれぞれ答えていて若利の番が来た時だ。

「鍛錬に当てています。欠かすわけにはいかないので。」

これは普通だ。まぁこいつならそう言うだろうなと誰もが納得出来る。他のスポーツの選手もうんうんといった調子で聞いているのが映っている。問題なのは彼がただ、と続けた先だった。

「最近は都合が合えば妹と外出するのが楽しみでもあります。」

液晶画面からそれが聞こえた途端悲劇は起きた。
瀬見英太が飲んでいた茶を吹き出した。
天童覚が腹を抱えて笑い転げた。
五色工がペットボトルを握ったまま飛び上がった。
川西太一がジュースの紙パックを握りつぶしてしまった。
白布賢二郎が飛び出したジュースを浴び、しかし目を見開いてTV画面を凝視していた。
山形隼人が食していた煎餅を喉につまらせかけた。
大平獅音が顔を青くしてカップを握った片手を震わせていた。
何とも言えない沈黙が部屋中に満ち、一方継続される番組の画面では出演者に動揺は見られない。質問した側が仲の良い兄妹ですねと当たり障りなく対応する。だがしかし画面の若利はそれを思い切りふいにした。
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