第33章 ・【外伝】尊敬
「でも兄様だって人間だよ。」
寒河江はつい吹き出してから言った。
「そーだった。やっぱお前尊敬するわ。」
「よくわからないけどありがとう。あれ、メール。」
呟いてスカートのポケットからガラケーを取り出した牛島文緒の表情がこわばった。
「見なかったふりしちゃおうかな。」
「どーかしたのか。」
文緒はこれと寒河江に画面を見せる。
"遅くなるなら連絡するように"
通信料金に配慮したのか何も考えていないのか微妙な雰囲気の文面だった。何となく後者の気がする。
「話には聞いてるけどガチ過保護だな。」
「何も言わないで。」
げんなりする牛島文緒に寒河江はあははと笑ってしまった。
次章へ続く