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【ハイキュー】ウシワカイモウト第二部

第31章 ・ウツイの娘 終わり


「にい、さま。」

呟く文緒のかすれた声で若利はハッとしたようだった。

「すまん、勢い余った。」

そっと唇を離し、しかしそのごつい指先は代わりだと言わんばかりに義妹の細い喉をなぞる。

「別の意味で困る事を再認識した。」
「といいますと」
「俺がお前から離れられない。なるほど最近天童が魅惑のロリータだと言っているが」
「天童さんのその手のお話は鵜呑みになさらない方が」
「ここまで人を惑わす娘とは思わなかった。」
「私は」
「お前はドロレスではない、元は宇津井の娘で今はこの家の娘だ。だが今確かに俺はお前に魅了されたままだ。」
「兄様。」

急に文緒の視界が90度回転した。若利が文緒を抱えたまま床に転がったのだ。つまり文緒は若利の上に乗っかった形になっている。

「俺の文緒でいろ。」

ほんの少しの沈黙の後若利は呟いた。

「はい、兄様。」

義兄の胸に頬寄せて文緒は目を閉じる。

「まだ寝るには早い。」
「寝てません。」
「油断出来ない。とにかく寝るなら風呂に入ってからにしろ。」
「もちろんです。」
「しかし寝る時はどうしたものか。」
「1人で寝れます。」

何かの予感がした文緒は笑いながら先手を打つ。

「そうか。」

一瞬の間をおいてから若利は呟いた。


だがしかしその日の夜である。

「兄様っ。」

夜の廊下に文緒の声が響く。

「降ろしてくださいっ。」
「別にかどわかす訳じゃない。」
「当たり前ですっ。」
「もう遅い、あまり騒ぐな。」
「では降ろしてください。」
「それは承知出来ない。」
「ああもう何て事。」

もはや説明するまでもないだろうが結局風呂上がりの文緒はふんわり系のネグリジェを着た姿で若利の部屋に運び込まれてしまったのだった。
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