第25章 ・海へ行く話 終わり
後日、文緒の自室に飾られた人形用のテーブルには粘土でこさえた果物を乗せた小さな貝殻が2つ程置かれ、周辺には小石や摩耗したガラスの欠片が飾られていた。
そして若利のスマホには大平からの集合写真と天童からの2人の写真をまとめてレイアウトしたものが届いた。
「天童さんは加工がお上手ですね。あら、このシールみたいな飾りも素敵。」
「ああ。こういうのはどうやるのか。」
「きっとアプリがあるんでしょう。経緯はともかくありがたい事です。せっかくですから印刷したいところですね。」
「ああ。どうすればいい。」
「調べてみます。わからなかったら文芸部の人に聞いてみます。」
「そうか。」
「最悪SNSの方ですね。」
「つてが色々あるようで助かる。」
若利の呟きをよそに文緒は例の携帯型映像機器でウェブ検索を始める。
横で義兄がそれを見つめていて、静止画にも動画にも残っていない潮騒と文緒がはしゃぐ姿を思い出して微笑んでいた事を当人は知らない。
次章に続く