第25章 ・海へ行く話 終わり
「だよな。」
ポツリと言うのは川西だ。
「天童さん、写真集でも作るつもりすか。」
白布が余計な事をと川西を小突くが天童はにいっと笑う。
「似たようなもんだよ、何も考えてない若利君とどうこう言わない文緒ちゃんじゃあなかなか記録残んないでしょ。」
「そうか、恩に着る。」
「兄様、あれは詭弁です。」
「はいはいロリ嫁ちゃんはいつまでも固いこと言わないの。」
「どうした文緒。」
急にキョロキョロしだした文緒に若利が尋ね、五色があっと言い出す。
「何だ何だ。」
山形が首をかしげるが程なく答えは出た。
「おい文緒っ、投げるもん探すなっ。」
「ホント好戦的な嫁だなおいっ。」
「当たっても大丈夫なもんはねーぞっ。」
「工もそーゆー問題かっ。」
「文緒が今日もまた妙に落ち着きがない。どうしたことだ。」
「だいたい天童のせいだろ。」
「ちょっと英太君、心外なんだけどー。」
「ここまでくる以前にやたら文緒挑発してたん誰だよ。」
「盛り上げただけだよ。」
「文緒、いいから座れ。」
「兄様、多少は状況を考えていただかないと。」
「お、いい角度。若利君はもちっとこの辺ね。」
「わかった。」
「はい、撮るよー。」
「いいのかな、続行させて。」
「ほっとけ太一、どうせ止まらない。」
「どんな写真にするつもりなんだろうな。」
「獅音は呑気なんか、若干現実逃避してんのか。」
「俺も逃避してえ。」
「兄貴その2まで逃避したら洒落んなんねーぞ。」
結局そのまま天童によるよくわからない撮影は続き、瀬見の突っ込みも虚しく牛島兄妹はアイドルか何かよろしく色々ポーズを取らされた。
「よーし。」
しばらくして天童が満足そうに言った。顔が大変テカテカしているように見えるのは気のせいではあるまい。
「2人ともお疲れありがと。いー感じのが撮れたよー。」
「いやこちらこそ礼を言う。」
「ありがとうございます。」
「何か言いたげだね、文緒ちゃん。」
「いいえ、お気になさらず。」
「若利君、嫁ちゃんが笑ってごまかそうとしてるんだけど。」
「最近余計な技を覚えたようでな。すまん。」
「何て事、面白がってる方とそれに気づかない方がいらっしゃるから。」
そんな話をしている中、急に風が強く吹いてきた。
「あっ。」