第23章 ・海へ行く話 その4
「兄様、降ろしてください。」
「そこまで気に入らないのか。」
「さっきと一緒です、知らない人もいる前では嫌です。」
「そうか。」
若利は呟いてそっと文緒を下ろす。義妹は珍しくううと唸って若利を睨んでいた。
「後で水かけられない事を祈ります。」
川西に言われて若利は首を傾げた。
「その頃には時効だろう。」
「駄目だこの人何とかしないと。」
余談であるが瀬見英太はすっ飛んで来た五色に大平さんからヘルプ要請ですっなどという訳のわからない事を言われて困惑し、嫌な予感しかしないと五色と交代して現場に行くと案の定若利が文緒を抱きかかえていたという話を聞いたものだからこれまた頭が痛む思いをしたという。
次章に続く