第22章 ・海へ行く話 その3
「文緒。」
若利が眉根を寄せていた。だが文緒はさらりと返す。
「借りたものをお返ししただけです、兄様。」
「最近は口が立つので困る。」
「これが本当のお返しってか。あんまうまくないよ、文緒ちゃん。」
「何も考えておりませんでした。」
「天然だっ。」
「五色君に言われたくない。」
「何だとっ。」
「五十歩百歩だ。」
「何て事、兄様に言われるようでは先が思いやられます。」
「お前に言われるのはどうにも納得が行かない。」
これはひどい。
「チョット誰か突っ込みヘルプー。」
たまりかねた天童が言い出した所で一度このバトルは終結した。
次章に続く