第3章 萌葱-moegi-
儚い微笑みを浮かべた。
「優しく待っててくれてありがとう…」
猛烈に嫉妬を感じた。
リーダーに酷いことしたヤツに。
俺より先に、リーダーに触れた。
しかも傷つけた。
嫉妬と怒りが俺の身体に渦巻いた。
ぎゅっとリーダーの身体を引き寄せて、抱きしめた。
「俺が…リーダーの初めてになる」
「え?」
「前にされたことなんて、全部忘れて?」
「相葉ちゃん…」
「俺が、リーダーの一番だよ…」
そう言ったら、微笑みが消えた。
消えたかと思ったら、今度は泣き顔になった。
「ごめん…あんな話、しなきゃよかった…」
「ううん…教えてくれて…ありがとう」
まぶたにキスを落とすと、目をじっと見つめた。
ぽろぽろと涙が後から後から溢れてくる。
「リーダー、全部忘れてね…?」
「ごめん…忘れることは…できない…」
「…なんで…」
「あんなことされた俺も、俺だから」
「リーダー…」
「もう二度とあんなことされないために、俺は忘れない…二度と…」
唇を噛みしめると、ぎゅっと目を閉じてしまった。
なんでそんなに自分を責めるの…?
頬に触れたら、涙で手のひらが濡れた。