第20章 グレイ scene2
リビングに入ると、和也がソファに座って両腕を広げた。
「おいで、翔ちゃん」
隣に座ってゆっくりと和也の胸に顔を埋める。
ふぅと息を吐き出して、和也は俺をぎゅうっと抱きしめた。
「…やっと翔ちゃんに触れる…」
とくんとくんと和也の心臓の音。
胸板に耳をつけて目を閉じると、それだけで幸せだった。
「顔、見せて?翔ちゃん…」
そっと頬に手を添えられて、上を向かされた。
和也の子犬みたいな目が、俺をじっと見つめた。
「ふふ…可愛い…翔ちゃん…」
手のひらで頬をすべすべと撫でられる。
「…和也も、可愛い…」
そっと白い頬を手で包むと、ほんのり頬を赤く染めた。
唇をとがらせると、俺の鼻先にちゅっとキスをした。
「翔ちゃんのほうが、可愛いよ」
俺も和也の鼻先にキスをした。
「和也も可愛いよ」
ふふっと微笑み合って、お互いの頬や額にキスをした。
「…会いたかった…」
「うん…凄く会いたかったよ…」
ぎゅうっとお互いを抱きしめて、体温を混ぜ合う。
会えなかった二週間、ずっと和也のことを考えてた。
ちゃんとご飯食べてるのかな…
またゲームばっかりしてやしないかな…
お酒飲み過ぎてないかな…
たばこ、吸い過ぎて喉痛くしてないかな…
頭の中、恋人のことでいっぱいだった。
和也も、そうだったらいいな。