第3章 萌葱-moegi-
「ほんとに…?」
ぎゅっと目を閉じてしまったから、額にかかる髪をかきあげた。
「ね、本当に…いいの…?」
「もう…何回も聞かないで…」
「だって…痛いことするかもしれないよ?」
「…いいよ…?」
そっと目を開けると、俺をまっすぐ見た。
「だって…痛くても、酷いことしないでしょ?」
そんなこと、しない。
できるわけない。
「…酷いこと、されたことあるの…?」
あんまり真剣な顔をしているから、思わず聞いた。
うっすらと影のある表情。
暫く見つめていたら、こくんと頷いた。
「え…?」
そのまま横を向いてしまった。
「誰に…」
「言えない」
「だって…!」
「もう、昔のことだから…」
そう言い切って、俺の肩を掴むと引き寄せた。
ぎゅっと俺にしがみつくと、少し震えた。
「相葉ちゃんに…してほしい…」
「リーダー…」
「ちょうだい…?」
「いいの…?俺で…」
「うん…相葉ちゃんがいい…」
熱っぽい目で俺を見上げた。
「相葉ちゃんが欲しい」
「リーダーっ…」
ぎゅっと抱きしめた。
強く、強く抱きしめた。
「好き…相葉ちゃん…」
その声は、涙に濡れていた。