第19章 不言色(いわぬいろ)
それからずっと二人のこと気をつけてみていた。
雅紀と翔さんがふたりきりにならないよう、監視してるみたいに。
なにか絶対良くないことが起こってる。
だけどずっと一人で見てるのも限界があって。
ある日、休憩に入ったら二人とも居なかった。
スタジオ中探して、やっとふたりの居るところを見つけた。
話を立ち聞きするつもりはなかったんだ…
だけど聞こえてきた話があまりにも衝撃的で、足が止まってしまった。
「翔ちゃん、お願い…」
「嫌だって言ってんだろ…」
「じゃあ、和也と別れないよ」
「…だから、何回この話してんだよ…」
「抱かせてくれたら別れてやるって言ってるだろ?」
「一回だけじゃないだろ?この先ずっとだろ?」
「…そうだよ…悪い?」
「俺は…和也だけだから…」
「もう…忘れらんないんだよ…翔ちゃんの身体が…」
え?
どういうこと…?
「もう一回抱かせてよ…お願い」
「だめだ。そう言って何回抱いた?もう無理だから…」
「翔ちゃんっ…」
「もうどっちも諦めてくれよ…俺のことも、和也のことも…」
「…いやだ…」
「雅紀…」