第19章 不言色(いわぬいろ)
「こんなところで寝たら風邪引くよ?」
エアコンの当たるソファで、雅紀はうたた寝をしていた。
「ん…」
起き上がると、寝室へ入っていった。
溜息をつくと、俺も一緒に寝室へ入ってベッドへ横になった。
熱い夜だ。
なかなか寝付けない。
さっきシャワーをしたばかりなのに、また汗をかいてきた。
タオルで身体を拭こうと起き上がったら、雅紀に腕を掴まれた。
「雅紀っ…」
ぐいっと引っ張られて、あっという間に組み敷かれた。
「やめてっ…」
「翔…」
「え…?」
雅紀の目が熱に浮かされたようだった。
「なに、言ってるの…?」
「あ…」
「ねえ…雅紀?」
「なんでもないっ…」
雅紀はベッドから飛び降りていった。
「ちょっとっ…待ってよ!」
雅紀を追いかけてリビングに行く。
「ねえ…今の…」
雅紀がスマホを掴んだ。
「今日、家に帰る」
「待てよっ…」
掴んだ手からスマホが落ちる。
落ちたスマホに目をやると、画面にメッセージが出ていた。
「なにこれ…」
スマホを掴むとメッセージを読む。
「返せよっ…」
「どういうことだよ!?」