第19章 不言色(いわぬいろ)
雅紀の様子がずっとおかしい。
翔さんも、ずっと連絡してきてくれない。
ツアーのリハーサルが始まって、5人でいることが多くなった。
隙を見て翔さんを連れだして、ふたりきりになったけど、ただ俺を抱きしめてくれるだけで、なにもしてくれなくなった。
なんで抱いてくれないの?
日に日に、身体の熱が溜まっていく。
翔さん…欲しいよ…
夏に雅紀に別れ話を切り出した。
時間を掛けて、話をしていくつもりだった。
最初の頃は、怒って話を聞いてくれなかった。
親にも責められて、どこにも俺の居場所はなかった。
でも、翔さんとの未来が俺にはある。
そう思ったら、耐えられた。
ごめん…
雅紀、本当にごめん。
俺の初恋なんだ。
どうか、叶えさせて…
お願い。
自分勝手だってわかってる。
でも今
翔さんの手を離したら、二度とは戻って来れない気がした。
だから、耐えるんだ…
今は辛いけど。
「雅紀…?」
ツアーのリハーサルが始まってから、雅紀は俺に触れてこなくなった。
触れられても拒否する気だったから、それはいいんだけど。
別れ話を切り出した頃は、無理やり押し倒されていたのに…
ずっと雅紀も様子がおかしかった。