第19章 不言色(いわぬいろ)
「なんのことだよ…」
「しらばっくれるなよ…人のモンに手ぇ出して…」
「はあ?」
「あんたに俺たちを壊す権利なんてない」
「何言ってんだよ…なんのことだよ」
「ふざけんなよ!」
雅紀は俺を突き飛ばすと、馬乗りになった。
「あんたも女にしてやろうか?」
「え…?」
「そしたら二度と和也に触れようなんて思わないだろ?情けなくて」
「なんだよ…それ…」
「プライドが高いアンタが、俺に犯されたってなったら…和也のこと抱けるかな…」
くっくっくと笑って、雅紀は俺のシャツに手をかけた。
「やめろよっ…何のことだよ!?」
「まだとぼけるのかよ…」
雅紀は俺の頭を掴むと、床に叩きつけた。
「ぐっ…あっ…」
「もう黙ってろよ」
いきなり顎を掴まれたかと思うと、上を向かされた。
思わず開いた口にタオルを突っ込まれた。
「いい格好だよ…」
頭を打って、動けない。
口を塞がれて朦朧としてくる。
その間にも、雅紀は俺のシャツのボタンをひとつひとつ外して行った。
「アンタが悪いんだからな…」
ボタンを全部外すと、嬲るように俺の身体を撫でた。
何の反応も示さない俺に苛立って、今度はズボンを脱がせた。