第19章 不言色(いわぬいろ)
全てが終わると、すぐに身支度する。
まだ少しだけ時間があったから、そのまま二人抱き合った。
「ねえ…翔さん。今度泊まりに行ってもいい?」
「いいよ…大丈夫なの?」
「うん。大丈夫だから…」
ぎゅっと俺に抱きつくと、そのまま離れない。
離したくない。
「ニノ…」
「和也…って呼んでよ」
「じゃあ、お前も翔って呼べよ?」
「ん…じゃあふたりきりの時は、そう呼ぶ…」
ちゅっと唇にキスして、ふたり見つめ合った。
一時の快楽でもいい。
こうやって肌をあわせていたら、不安なことなんか忘れられた。
でも肌が離れてしまえば、またすぐに合わせたくなる。
毎日毎日、ニノを抱きたい衝動と戦っていた。
それはニノも同じだったろうと思う。
腕時計のアラームが鳴って、俺達は固く抱き合った。
「先に行ってろよ」
「うん。じゃあまた後で…」
ニノが出て行くと、イスに深く沈み込んだ。
灰になってしまったように、燃え尽きる。
だけど、身体が離れていくとまた欲しくなる。
何度でも、何度でも。
また、拝借。