第19章 不言色(いわぬいろ)
俺は強くニノを抱きしめた。
「なんで…?ニノ…」
求めたのは俺だ。
ニノには雅紀がいる筈だ。
だけど俺に応えてくれた。
知りたかった。
理由を。
「教えて…ニノ…」
首筋に顔を埋めながら、もっと強くニノを抱きしめた。
「言って…言ってくれたら俺…」
「翔さん…」
「お前とどこまでも堕ちるから…」
またニノの中で俺が蠢いた。
「んっ…あ…翔さ…」
少しずつ、緩やかに腰をニノに埋め込んでいく。
「聞かせて…ニノ…」
ニノの目尻から次々と綺麗な水晶がこぼれ落ちてくる。
指先で触れたら、焼けるほど熱かった。
その痛みが、ニノの痛みのように感じた。
「ま、雅紀…」
「ん…」
「雅紀を…捨てることは…できない…」
ニノの唇は、また俺の肌に押し当てられた。
「だけど…俺は…昔から…」
”………だよ、翔さん………”
俺の腕を掴みながら微笑むニノ。
思い出した。
あの言葉。
「………好きだよ、翔さん………」
どこまでも深い場所まで
二人堕ちてゆけるなら
傷ついたって かまわない