第19章 不言色(いわぬいろ)
夢のなかのニノが俺の腕を掴む。
”なんだよ?”
俺が言うと、ニノは微笑みながらなにか言った。
口の動きは見えたのに。
言葉が聞こえなかった。
あの時、ニノはなんて言ったんだろう。
確かに10数年前に野外イベントがあった。
あれは夢なんかじゃなくて、実際にあったことだったと、夢から覚めて思い出した。
暫くベッドに入ったまま思い出していたけど、だめだった。
シャワーを浴びてても思い出せなくて。
”翔さん…殺したい”
違うな…そんな口の動きじゃなかった。
でも、もう一度聞きたい。
なんかそんな感じの言葉だった。
ねえ…
ニノ…もう一回言って?
俺に、なんて言ったの?
教えて
そして、また俺にちょうだいよ
”………だよ、翔さん………”